Photo of the Game 大学生の季節 ー 後編

トーナメントであるインカレの勝者となれるチームは、言うまでもなく一校しかない。
それ以外のチームは、目指したであろう頂点にたどり着くことはできずに大会を終えることになる。
「やりきった」と吹っ切れた表情でコートを後にする選手もいるが、そうではない選手が大半ではないだろうか。

最後のゲームのブザーを勝利の笑顔とともに聞ける4年生は本当にほんの一握りしかいない。
優勝した東海大のキャプテン内田旦人は、今年それを手にした一人で、ファイナル専修大戦での最初の出番は第4クォーター途中残り5分29秒、19点差の場面だった。
リーグ戦ではプレータイムも限られ主力級の活躍とはいかなかったが、それでもチームのキャプテンとして日々の練習ではチームをまとめ、チームの代表としてメディアのインタビューに答えることもあった。
もう第4区クォーターだ。コートに入った内田は、何となく気後れしているように見えた。単に緊張していたのかもしれない。
いや本当は、あれこそが必勝を期した覚悟の表情だったのかもしれない。
内田は最初のシュート放ち、それを決めた。
それまで不発だった専修のエース盛實がスリーを決め、4年生幸崎のグッディでベンチが盛り上がった直後だった。
続くシュートを外し、パスミスでターンオーバーを犯したが、次にオープンで打ったコーナースリーはきっちり沈めた。
内田は専修のタイムアウトでベンチに戻ってくるときには声を出してチームを鼓舞するようになっていた。
その後専修のディフェンスはさらに激しさを増し、東海はいくつかのターンオーバーを犯したが、大倉がクレバーに時間を使い24秒ぎりぎりで内田にボールを託した。内田は落ち着いてブロックに来たディフェンスをフェイクで飛ばせる。ワンドリブルしてライン際で放ったスリーはスムーズにリングに吸い込まれた。ブザービター。
その日東海ベンチが一番盛り上がった場面だ。
決めたあとベンチに向かって大きくセレブレーションしてみせた内田の顔は自信を取り戻しているように見えた。

東海大リードのまま時間は過ぎ、最後のポゼッションでボールを受け取った内田は終了のブザーとともにボールを大きく宙へ放り投げ、既にベンチから飛び出していたチームメイトに向かって駆け出した。
優勝の瞬間はいいものだ。負けてしまったチームの葛藤に満ちた表情も画になるけれど、勝って頂点にたどり着いたチームの喜ぶ様はやはり清々しい。
そのときの写真は、筆者の撮った今大会のベストショットになった。

東海大は5年ぶり5回目の優勝で、そんなに優勝していなかったのかと驚いてしまった。
名門のイメージが強いが、その分だけ勝てなかった時期の辛酸はあっただろう。
コートでは選手同士が次々と互いに抱き合い歓喜の輪ができていたが、その中に陸川監督に抱えられるようにして抱き合う内田の姿があった。

活躍を期す緊張した表情や会心のプレーの後の自信に満ちた表情。心に秘めたものを成就させたときに見せる最上級の笑顔と、そして恩師には安堵と感謝の涙を見せた。
ジェットコースターみたいに表情が変わる。これもプロではあまり見られないんじゃないだろうか。
純粋故に、表現もまたストレートだ。
こういう学生の姿が見られるから、カレッジのゲームをまた撮りたくなる。

東海大はリーグ戦から大倉、八村ら今年新たに入った1年生がスターターに定着した。彼らは各大学のフレッシュマンを特集した本紙19号で表紙(筆者撮影によるーhttps://twitter.com/BBSpirits/status/976030954081759232)を飾ってくれており、インタビューではゴールデンエイジと呼ばれた世代(竹内譲次、石崎巧らを要し2005、2006年に連覇)の再現を狙っていると言っていたが、有言実行しその一歩を踏み出した。
その活躍はまさに鮮烈だった。
来年以降の活躍にも期待したい。

今年のインカレは東海大の優勝で幕を閉じ、今シーズンの大学バスケは終了した。
英語で、あるスポーツの開催される時期、期間のことをSEASONというが、このSEASONには季節という意味もある。
学生達は人生に一度しかない季節に、バスケットに情熱を捧げ、互いに高め合い鎬を削っている。
来シーズンもまた、同じバスケットコートの上で、同じ熱量の、筋書きの違うドラマが展開されるはずだ。

東海大学の選手、スタッフ、関係者の皆さん、優勝おめでとうございます!

最後に…学生バスケファンの皆さん!
高校だけじゃなく、大学バスケも熱いですよ!

文・写真 吉田宗彦

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