“バスケ小僧”に未来の司令塔を見る:専修大学#34盛實海翔

インカレ2018で専修大学の盛實海翔を見てきた。巷で「和製ジェームズ・ハーデン」とも言われるシューティングガードだ。緩急をつけた動きに1対1でのドリブルハンドリング、巧みなボディコントロール――なるほどハーデンを彷彿とさせるプレーが随所に見られる。左利きというのもハーデンと同じだ。

しかし彼の魅力はそれだけにとどまらない。
彼を止めようとディフェンスが仕掛けてこようものなら、わずかなズレを見逃さず正確なアシストパスを出す。本人はそれを「ちょっとギャンブル的なところもある」と認めるが、それでも「狙えるところは狙っていくようにしています」と言い、結果的に大会のアシスト王に輝いた。

“声”の力もある。審判のハンドチェッキングに対する笛が多いと気づけば、すばやくチームメートにそれを伝える。手の使い方に気を付けろと言うわけだ。バスケットカウントにチームが盛り上がっているときも、むろん彼も喜びながら「次のディフェンスが大事だぞ」と釘をさすことも忘れない。
ポジションの性格上、得点をあげることを一番に狙いながら、多彩なパスでチームメートを生かし、適切な言葉でチームを引っ張る。そこに彼のなかの“ポイントガード”を見出すことができる。

本人にそれをぶつけてみると、「自分が今持っているものでは足りない」と即座に否定する。もちろんポイントガードができれば理想とも言うが、大学界のポイントガード陣と自身を比較したときに「ボールハンドリングも、スピードも、ディフェンス力も足りない」と言うのだ。
しかしわずかなズレを見つけて、そこにパスを出すセンス――決断力と実行力――は一朝一夕で身につくものではない。しかもそのズレを生み出しているのは彼自身の得点力であり、1対1である。

得意ではないというディフェンスも、彼が歩んできた上尾市立大石中や県立能代工業でその基礎を培われてきた。だからこそ今は間合いなどの「駆け引き」で補うことができている。ディフェンスのステップワークはフィジカルの強化とともに彼の課題だが、ディフェンスで駆け引きができるという感覚も将来的にはひとつの武器になるはずだ。

攻守において相手を翻弄し続ける盛實は、バスケットボールという競技そのものを楽しんでいるかのように見える。
「そう見てもらえるのは自分的にいいことです。やはりバスケットボールを楽しむことを前提にプレーしているので、そういう部分が見ている人に伝わっているのであればうれしいですね」
バスケットを楽しむ“バスケ小僧”が司令塔に立つ――いつかそんなシーンを見たい。そう思わせるのも盛實海翔の魅力の1つである。

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文・写真 三上太

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