アメリカでのこれまでと、そしてこれからと──前編(ジョージ・ワシントン大学 #12 渡邊雄太選手)

3年前の2014-15シーズンより、NCAAディヴィジョン1(以降Div1)のジョージ・ワシントン大学(以下GW)でデビューを果たした渡邊雄太選手。1年次はシックスマンとして平均7.4点を挙げ、3年次には自他共に認めるエースへ成長を遂げた。これまでの4年間のスタッツが示すとおり、素晴らしい成績を残している。

【ジョージ・ワシントン大学での平均スタッツ】
2014-15(1年)22.5分出場/7.4点/3.5リバウンド/0.6ブロック
2015-16(2年)27.7分出場/8.4点/4.0リバウンド/1.1ブロック
2016-17(3年)35.1分出場/12.2点/4.8リバウンド/1.1ブロック
2017-18(4年)37.0分出場/14.8点/6.1リバウンド/1.7ブロック

右肩上がりの成長は当たり前のように感じるかもしれない。だが、渡邊選手が戦っている舞台は、未来のNBAプレーヤーたちがひしめき合うDiv1。毎年のように猛者が世界中から入れ替わり立ち替わりやってくるバスケ大国で競争し、プレータイムを勝ち獲るための努力は並大抵のことではない。4年生となった今年はキャプテンを任され、チームの中心にいる。そんな日本人選手が出てくることを想像できた人はどれだけいただろうか。当たり前のように結果を残していることで、この快挙が希薄になっているかもしれない。

彼の地で、唯一の日本人としてコート上で活躍する雄姿を見れば、とんでもない世界にいることを実感させられたとともに、非常に感慨深い。NCAAでのラストシーズンを迎えているこれまでについて、そして日本人3人目の快挙を目指すこれからについて、渡邊雄太選手に語ってもらった。

すごい選手ばかりのDiv1で勝つためにも休んでる暇はない!

ーーラストシーズンに向けて、どんな準備をしてきたのでしょうか?

昨年の夏は授業を取らなければならなかったために日本に帰ることができず、代表活動にも参加することができませんでした。
今シーズン、絶対にチームを引っ張っていかなければいけないことは昨シーズン中から自覚していましたし、コーチにもずっと言われ続けていました。今年のチームはやっぱり弱いですし、Div1は全てがすごい選手ばかりの中で、休んでる時間は正直言って今はないとも思っていました。日本に帰れず、代表活動に参加できなかったのは残念でしたがその分、毎日トレーニングと練習に集中することができ、その意識から変えて良い準備をすることはできました。

ーー頼れるチームメイトがいた昨シーズンまでと比較して、キャプテンを任されている今シーズンのチームの違いはどう感じられていますか?

やっぱり下級生が多くなりました(4年生は渡邊選手と今シーズン初ロスター入りしたジャック・グレンジャー選手の2人のみ)。また、GWで4年間プレーしているのも僕しかいません。そこが決定的な違いです。しょうがない部分でもありますが、下級生との意識の違いをたまに感じます。自分が下級生だったときも、先輩が引っ張ってくれたことで意識を高く持って戦えていたと思います。最上級生になった今、今度は自分が引っ張っていかなければいけない立場になり、あらためてリーダーの大切さは実感しています。

ーーリーダーとして見習っている先輩などはいますか?

昨年いたタイラー(カバナー/現アトランタ・ホークス)のリーダーシップは素晴らしかったです。常に声を出して自分たちを引っ張っていってくれました。今の僕は英語を話せるようになったとはいえ、まだ下手くそです。そもそも自分から声を出して引っ張っていくようなキャラでもなかったので、大変な部分もあります。だからこそ、試合中に仲間の頭をポンポンと叩いたり肩を組んだり、誰にでもできるようなことでチームをひとつにまとめられるよう意識しています。日本ではなかなかやっていなかったことですが、アメリカの文化に少しずつ馴染んできてそういうコミュニケーションもできるようになってきました。

ーー英語が上達したことでのコミュニケーションや理解度などで大きな違いはありますか?

それは全然違います。自分から発言するときもありますし、バスケットについて聞く分に関しては100%理解できています。そこは成長しているかなと思います。言うか言わないかは別として、言いたいことを英語で言えるようにもなっています。

死にもの狂いで一戦一戦を戦っていくだけ

ーー毎年のようにアトランティック10(以下A-10)カンファレンス同士の対戦になると思うように勝てなくなる要因はどこにあると思いますか?

今年こそレベルは落ちていますが、言ってもA-10はDiv1の中でもレベルが高いカンファレンスのひとつです。それはこれまで戦っていてもそう思いますし、簡単に勝てる相手ではありません。それが分かっている中で、負けた試合の映像を見返すと本当に細かい部分を僕らが徹底できておらず、それに対して相手はそこができていました。実力差ではなく、結果に現れているのはそういう細かい部分だけなんです。今シーズンは特にチーム力が落ちている分、徹底しなければいけないことも多いんですが、やっぱり試合中にボロが出てしまうことが今年はすごく多く、それが結果に左右していることを映像で見返してもハッキリしてます。そこが今の課題です。

ーー若返ったことで経験浅いチームではありますが、シーズンを通してきた今、成長は感じられていますか?

シーズン当初に比べたらみんなの意識も上がってきていますし、技術的な部分も良いときにはみんな目を見張るようなパフォーマンスをしてくれています。逆に流れが悪くなったときに若さが出てしまいます。経験の無さがゆえに、途中で点差を離されてしまったことがこれまでは多かったです。その場面でチームを引っ張れないのは、キャプテンである自分の責任だとも思っています。
試合の中で修正していける力が、残りのレギュラーシーズンで身につけばチャンスはあります。今年はロードアイランド大学(※A-10カンファレンス同士の対戦では11連勝中で負けなしの首位)が飛び抜けて強いですが、それ以外はどこが勝ってもおかしくはない状況です。A-10カンファレンスのトーナメントでロードアイランド大学と別ブロックに入ることができ、決勝まで行けば、そのときの流れでどんな結果になっても分からないです。まだまだ(NCAAトーナメントに出場できる)チャンスは全然あると僕は思っています。そのためにも試合の中で修正していく力が必要だと思っています。

ーー残る試合が大切になるとともに、A-10カンファレンスのトーナメントで優勝しなければ目標を叶えられないがけっぷちにいますね。

今の順位的に考えても、残りの試合を全て勝ってもNCAAトーナメントに食い込むことは無理なので、A-10トーナメントを優勝するしかないです。その中でも可能性は十分にあると思っているし諦めてはいません。最後の年なので、どうしても(NCAAトーナメントに)出たい!死にもの狂いで一戦一戦を戦っていくだけです。

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この前向きな話を聞いたのは、「怒りの涙」を流す前のことだった。打ちひしがれた渡邊選手がどこまでメンタル面をリカバーし、チームの士気を高めて明朝2月8日(日本時間9時)に行われるラ・サール大学戦に臨めるか。この試合もA-10ネットワークにて生中継されるようなので、ともに応援しよう!

まだまだ続くインタビュー。日本代表や東京オリンピックのこと、そしてNBAのこと──

ジョージ・ワシントン大学
ジョージ・ワシントン大学/渡邊雄太ページ(協力:杉浦大介氏)

文・写真 泉 誠一