スタッツ微減も前向きに捉えられた3シーズン目を終え、笑顔で帰国(シアトル・ストーム/JX-ENEOSサンフラワーズ 渡嘉敷来夢選手)

WNBAシアトル・ストームでの3シーズン目を終えた渡嘉敷来夢選手が9月19日夕方、笑顔で帰国した。

開幕戦、引退したNBAレジェンドのコービー・ブライアント氏が観戦する中、アウェーで行われたLAスパークス戦で先発を任される。「自信がないとやっていけないと思って常に試合に臨んでいますし、30分出してもらえたら『そのくらいやるぞ』と思ってます」という言葉通り、30分の出場でしっかりと14点を挙げた。試合には敗れたが、個人としては幸先の良いスタートを切った。

だが、先発を任されたのはこの1試合だけ。今シーズン、二桁得点を挙げたのもこの試合と6月27日のワシントン・ミスティクス戦に11点を挙げた2試合しかない。そのワシントン戦以降の21試合のうち、12試合は無得点に終わっている。現在ファイナル真っ只中のWNBAではあるが、昨シーズンと同じくプレーオフ・ファーストラウンドで敗れ、少し早めに2017シーズンを終えた。

恐さ倍増!?「そういう選択肢もあるよ」

渡嘉敷選手個人の成績を見ると、昨シーズンよりも少しずつだが減っている項目が多い。

(スタッツ|2016 → 2017)
試合数|31 → 33 △
出場時間|平均13.0分 → 12.4分 ▼
得点|平均5.3点 → 3.2点 ▼
フィールドゴール率|60/127本(47.2%) → 42/95本(44.2%) ▼
リバウンド|平均2.5本 → 1.6本 ▼
アシスト|総数9本 → 21本 △

「試合に出てないし、数字が下がっていると思われている方はたくさんいると思います。でも自分としては、これもひとつの経験だと思って今後もやっていきたいです」と思いの外、前向きだった。さらにポジティブなコメントが続く。「試合感覚は確実にWリーグや日本代表の方が身につくことですが、そこでは感じられない体の当たりやスキルはベンチで見ているだけでも収穫になっています」と厳しいシーズンだったにも関わらず、笑顔は絶えない。

アシスト数は増えたがシュート試投数は減っており、消極的になってしまったと評価することもできる。渡嘉敷選手自身は、「日本では自分がスコアラーですが、シアトルには周りに得点できる選手が他にもいます。逆に自分が中に切っていってパスをして、その選手が決めるのもチームに貢献するプレー。シュートに行ける時には行きますが、中に行ってマークが寄ってきたときにパスすることを、特に後半は意識してやってました」と説明。日本でのインサイドは敵無し、これまでWNBAの2シーズンではアウトサイドのプレーを身につけ、そして3年目の今年はアシストの楽しさを覚えてしまった。

「日本で同じプレーをしたら、『もっとリングに行け』と言われちゃうと思いますけど(笑)。パスもまたひとつ、自分にとっての成長であり、プラスになった部分。『そういう選択肢もあるよ』というところです」とWリーグで対峙するマークマンにとっては、さらに的が絞りにくい存在となって帰ってきたわけである。

アジア3連覇した「みんなには負けてられない」
3シーズン目で芽生えたプロ意識

今夏、各代表が軒並み世界で結果を残した女子バスケにおいて、180cm台の選手は次々と現れている。だが、Wリーグの中で190cmを越えるのは渡嘉敷選手、ただ一人。しかしシアトルでは12人のロスターのうち、渡嘉敷選手よりも大きな選手がチーム内だけで3人もいるのだ。

「同じポジションにはアメリカ代表のブリアナ(スチュワート/193cm)がいるので、いつも一番近くで一緒に練習できることが今後の自分にとって必ずプラスになることだと思っています」と日本では味わえない日々の経験が、着実に渡嘉敷選手を成長させてくれる。女子日本代表がオーストラリアを破ってアジア3連覇を果たしたことに対し、「みんなには負けてられない」とアメリカの地で闘志を燃やしていた。様々な環境で切磋琢磨することで、「東京オリンピックに向けて、良い形で進んでいると思います」と女子日本代表の未来は明るい。

WNBAは世界最高峰の女子プロバスケットボールリーグである。「日本では実業団チームの選手ですが、自分はプロだと思ってやってます。だからこそ、今年はアメリカで『1シーズン通して戦いたい』という気持ちが生まれたのかなって思います。それに対して、沢山の方が理解してくれたおかげで実現できたことなので、本当に感謝しています。(1シーズンを通して戦えたことは)自分にとっての新しい挑戦であり、大きな経験にもなりました。それがプロ意識と言いますか……もっとアメリカでプレータイムを残していきたいと思いましたし、そういうところが少し変わった部分かな」と言うのが、渡嘉敷選手に芽生えたプロ意識である。

同じく女子プロサッカークラブ、シアトル・レインFCで活躍する川澄奈穂美選手の存在も大きい。
「女子サッカー選手はすごくプロ意識が高く、その部分でもバスケと違う刺激をもらってます。サッカーはたくさん海外でプレーする選手も多く、その人たちのこともいろいろ聞けるので、競技は違いますが参考になることも多く、いろいろ教えてもらいました」

まもなく10月7日(土)よりWリーグ新シーズンが開幕する。渡嘉敷選手にとっては、JX-ENEOSサンフラワーズでの8シーズン目を迎える。もちろん目指すは10連覇しかない。
「どのチームでも成し遂げられることではなく、そこを目指せるのもJX-ENEOSが一番近いので、ハイ。したいですね、10連覇!せっかくなので」

Wリーグは10月7日(土)より全国各地で開幕!

【10/7開幕戦カード】
13:00 山梨 vs JX-ENEOS(山梨県・小瀬スポーツ公園体育館)
14:00 日立ハイテク vs シャンソン(兵庫県・ベイコム総合体育館)
14:00 トヨタ vs アイシンAW(愛知県・稲永スポーツセンター)
15:00 東京羽田 vs デンソー(東京都・片柳アリーナ)
16:30 三菱電機 vs トヨタ紡織(愛知県・愛知県体育館)
18:00 新潟 vs 富士通(新潟県・新潟市鳥屋野総合体育館)

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文・写真 泉 誠一