「16年間、たくさんの仲間、たくさんのスタッフとプレーできたこと、それが私の自慢です」(富士通・三谷藍選手引退セレモニー)

11月4日、川崎・とどろきアリーナで行われた富士通―シャンソン戦終了後、昨シーズンを持って現役を引退した三谷藍(コートネーム・レイ)さんの引退セレモニーが行われた。千葉県出身の三谷さんは市立船橋高校から専修大学を経て2001年に富士通に入社。181cmの高さと得意の3ポイントシュートを武器にWリーグ昇格に貢献し、その年の新人賞に輝くと、2005年には初の日本代表にも選出された。

「気がつけば16年経っていたという感じでしょうか」と、本人は笑うが、日本のトップ選手としてコートに立ち続けた16年は単に時間の長さだけではない大きな意味を持つ。「自分では(16年の長さを)それほど重く受け止めてはいないんです。だから、私のためにセレモニーをしていただいたことはものすごくありがたかったですが、それと同時になんだか恥ずかしかったです。ただ、たくさんの皆さんに『よく頑張ったね』とか『お疲れ様でした』とか言っていただいて、初めて自分がやってきたことに少しは意味があったのかなと感じました。そう感じられたことがうれしかったです」――最後まで笑顔で、最後まで謙虚に。そんな‟大先輩„に贈る後輩にからのメッセージを聞いてみた。

#10町田瑠唯

レイさんは自分にとってお姉ちゃんみたいな存在でした。富士通に入ったときも同期がいなくてちょっと心細かったんですが、1番最初に声をかけてくれて、ご飯に誘ってくれたのがレイさん。それからは2人でいろんな所に遊びに行きました。「今日、暇?」ってLINEが来て「暇!」って返すと「じゃあ、どっかに行こう」ってなって、要は2人とも暇なことが多かったということですが(笑)。家に泊めてもらったこともありますし、何でも相談できる人でした。こっちの話をちゃんと聞いてくれて、自分の考えをしっかり言ってくれるんです。それは私だけにじゃなくて、誰に対してもそうでした。本当によくしてもらったと思っています。

レイさんの現役最後の試合も、今日の引退セレモニーがある試合も敗れてしまって、いい形で送ってあげることができなかったことが申し訳ないですが、あらためて「16年間、本当にお疲れさまでした」と言いたいです。レイさんが私たち後輩にしてくれた沢山のことを忘れることなく、これからはレイさんにしてもらったように自分が後輩たちの頼れる存在になっていかなければと思っています。

#15山本千夏

バスケットに取り組む姿勢だったり、試合に向かう準備だったり、レイさんはコートの上でも外でも私たちの見本となる先輩でした。レイさんから私たちが学んできたものは本当にいっぱいあります。チームがダラけているときはいつもビシッと言ってくれたし、いろんな経験を積んできた方なので、その言葉には説得力がありました。

レイさんとは私が試合に出るようになってからよく話すようになって、プレーの話もよく聞いてもらいました。うまくいかなくて落ち込んでいるとき、さり気なく声をかけてくれるのもレイさんでした。マイペースで、おっとりした印象がありますが、バスケットに関しては自他ともに厳しく、それでいて温かく、日本代表でもレイさんがいるだけで安心できるというか、私にとってそういう存在でした。16年間富士通を支えてくださってありがとうございました。

#11篠崎 澪

一言で『16年』と言いますが、生まれた赤ちゃんが高校生になる年月ですよね。その年月をずっと第一線でプレーしてきたレイさんは本当にすごいと思います。いつだったか入ってきた新人の子たちを見て「あー、私の歳の半分だ」って笑っていたことがあるんですが、そういうことをサラッと言える人、何でも話せて、平気でイジられて、すごくやさしい人、バスケットではとても偉大な先輩だけど、普段はめちゃめちゃ可愛くてチャーミングな人、それがレイさんです。

個人的には日本代表にいっしょに行くようになってからすごく距離が縮まって、いろんな話をするようになりました。コートの中ではもちろんそうですが、コートを離れても、どこでもいつでも頼りになる先輩でした。本当にもう感謝しかありません。今まで沢山支えてくれてありがとうございました。レイさんがいなくなったのは淋しいですけど、お互いお酒が好きなので、これからもぜひ誘ってください(笑)。しばらくはゆっくり休んでくださいね。

本川紗奈生(シャンソン化粧品)

レイさんとは日本代表でいっしょにプレーしましたが、大先輩なのにすごく親しみやすくて、上下関係を感じさせることなく、それでいて下の子の面倒をしっかり見てくれる人でした。普段は結構のんびりというか、おっとりしている感じですが、バスケットになると違います。ミーティングでも言うべきこと、厳しい意見でも言わなくてはいけないことはきちんと言ってくれて、いつもチームをまとめてくれる存在でした。16年間、本当にお疲れさまでした、そして、ありがとうございましたと伝えたいです。

最後に本人からのメッセージ。
三谷 藍

引退セレモニーをやっていただくことは前からお聞きしていたんですが、そこでどんなあいさつをしたらいいのかすごく考えました。でも、いざ皆さんの前に立ったら緊張してしまって、口の中がカラカラになって、あまりうまく話せませんでした。ただ感謝の気持ちだけは伝えたかったし、それが伝わったなら良かったと思っています。

今日、観客席に座って試合を見ていて、1年前に自分がここでプレーしていたとは思えないほど時間が経っているような気がしました。後輩たちはみんな頑張っていると思います。だけど、まだまだですね(笑)。今季は私が引退して、(長岡)萌映子が移籍して、チームも変わったし、大変な面もあるかもしれません。でも、逆にそれが「自分たちがやらなくては」という気持ちにつながるのかもしれない。そのことでより(チームが)まとまっていくのではないかと思っています。ハングリー精神じゃないですけど、ここで負けていられないというか、そういうのは絶対あると思うのでこれからの戦いに期待しています。

16年というのは確かに短くはないですけど、自分としては大それたことをやってきたという気持ちはありません。振り返ると、富士通に入って2年目ぐらいに自分の力不足を思い知って辞めようかと考えたことがありますが、それからは1度も辞めたいと思ったことはなかったです。富士通ではたくさんの仲間、たくさんのスタッフといっしょにプレーできて、それが私の自慢です。優勝できたこと、日本代表に選んでいただけたこと、今思っても選手として幸せな16年間だったと思います。応援してくださった皆さん、支えてくださった皆さんのおかげで16年間選手で居続けることができました。すべての皆さんに深く、深く感謝しています。本当にありがとうございました。

富士通レッドウェーブ

文・松原貴実 写真・泉 誠一