• HOME
  • report
  • W LEAGUE , Column
  • 【全文掲載】女子バスケットのレジェンド初対談!大神雄子×萩原美樹子の「女子バスケ温故知新」⑤挑戦〜おわりは次への第一歩

【全文掲載】女子バスケットのレジェンド初対談!大神雄子×萩原美樹子の「女子バスケ温故知新」⑤挑戦〜おわりは次への第一歩

「あまりにすごすぎで後輩とは思えない(笑)」(萩原)

――国内に目を戻すと、JX-ENEOSが10連覇を達成しました。ともにOGとしてその現状をどう見ていますか?

萩原 実は私、Wリーグの理事でもあるので、そう考えると1つのチームだけが勝つというのは……やはり拮抗したゲームがたくさんあったほうがおもしろいので、もうちょっと拮抗できるような仕組みづくりも必要だなと思ったりもします。でもOGとしては10連覇ってすごい偉業だと思いますよ。Wリーグってレギュラーシーズンの1試合を勝つことさえすごく大変なんですね。結果的に大差になるゲームでも、選手って「今日はシュートが入るかしら?」とか「今日はシュートを打っても入れられる気がしない」みたいなこともあるし、そのなかで1つひとつ勝ちを重ねて10連覇することは本当にすごい。でもあまりにもすごすぎて、後輩とは思えない(笑)。

大神 ハハハ。

萩原 あの人たちは違う(次元の)人たちみたいな感じ。

――萩原さんはシャンソン化粧品の10連覇を目の当たりにするなど、逆に女王にチャレンジし続ける10年でした。

萩原 そうですね、シャンソン化粧品に対してはそうでした。でもほかのチームに対しては勝たなきゃいけないと思っていましたよ。当然、相手はシャンソン化粧品だけではなかったので。準優勝10連覇です(笑)。それも大変ですよ。

大神 毎回挑戦できる立場であり続けた。

萩原 当時は外国人選手がいた時代でもあったし、今よりもチーム数が多くて、2ディビジョン制でやったこともあるから。そのなかで勝ち続けることは大変と言えば大変だったのよ。シャンソン化粧品には勝てなかったけれども。

大神 そうか、当時は外国人がいたのか……

――大神さんは古巣でもあり、最後はライバルとなったJX-ENEOSの10連覇をどう見ていますか?

大神 自分は今シーズンまで現役選手でいたので、逆に10連覇を阻止するチャレンジャーとしてチャンスはあったと思うんですよね。対戦する選手たちも「何とかしたい」という思いはあるんですよ。実際にトヨタ自動車はレギュラーシーズンでJX-ENEOSに1つ勝ったことで可能性を見出せたわけだし。でもトータル的に長いシーズンを戦うと、やっぱり彼女たちのほうが勝ち方を知っていたというか、そこの強さがあったわけです。ただ10連覇は他のチームにだって今後できる可能性がなくはないと思うんです。それこそトヨタだったり、デンソーだったり、ほかのチームもそう。どこにも可能性はあると思うので、そこは選手がどうこうというよりは、リーグだとか、協会だとか、そこの人たちが少し……たとえば移籍のルールが変わったし、登録のルールも変わったし、Wリーグが変わってきていることは事実だから、そのなかで拮抗した試合をするとか、JX-ENEOSだけじゃなくて、大敗するチームの試合も見なければいけない。そのレベルの平均化は難しいと思うんですけど……

萩原 つまりは仕組み作りだよね。

大神 はい。そこもやったうえでリーグが前に進んでいけばいいんじゃないかと思います。ただオーさんがおっしゃったように10年連続で勝ち続けることは本当に難しいことなんです。自分もそのうちの5連覇をJX-ENEOSのメンバーとして経験しているんですけど、そのあとも勝ち続けているのは……自分もそこにいたんだよな? って(笑)。リュウとは付き合いが長いし、タクとは5年やったし、アース(宮澤)とは1年だけだけど、そうした選手たちと一緒にやったので、メンタルがきついこともわかっています。ただトヨタに入ってみて、そこに挑戦する楽しさも知ることができました。自分としては常にJX-ENEOSを倒すという思いと、(JX-ENEOS時代に)そうならないようにチャレンジしていくという2つを経験した分、今シーズン最終的にJX-ENEOSが10連覇したけど、ほかのチームが倒す可能性もなくはないって、上位チームは感じているんじゃないかと思います。

「挑戦したことで得た宝物であり、武器を生かしたい」(大神)

――最後に大神さんは今後について聞かせてください。萩原さんにはそんな大神さんにどうなってほしいと思うかを聞かせてほしい。

大神 今までずっと、Wリーグに入って17年間、バスケットしかしてこなかったので、いろいろ勉強をしてみたいなと考えています。ただそれが一体何になるのか、枝分かれする部分があまりに多くありすぎて、いい意味で今困っています。自分でその選択を、優先順位も含めて、5年後、10年後のビジョンを持ってやっていけたらいいなと。

――バスケットだけじゃなく、いろんなものを見てみたいと?

大神 中にいるとあまり知らないけど、外に出ることで日本のバスケットをもっと知ることができるのかなって思うんです。それはアメリカに行ってすごく気づいたことだったので、そう考えたら、日本のバスケットだけに留まるんじゃなくて、それこそこのあいだロシアリーグを見に行ったり、いろんな国でリーグをやっているので、それらのリーグを見て、Wリーグがなかなか……盛り上がらないわけじゃないけど、観客数の動員なども含めて世界の状況はどうなんだろうと。企業を経営する気はまったくないんですけど、ただそういう発想、考えを持って、いろんなところからアプローチしていけたらいいなと思っています。

――それは日本の女子バスケットをもっともっと盛り上げたいという思い。

大神 はい。発展させていきたいです。最終的にはコーチになりたいですけど、それまでに学ぶところはたくさんあるんじゃないかなと思います。

――先輩としては、日本の頂点に登り詰めた“ドペーペー”が新たな山に挑戦するにあたり、どうあってほしいと思いますか?

萩原 この子はやっぱり誰しもができない経験をしているわけで、特にアメリカでプレーした経験はとても貴重なわけです。変な話、日本でまだ3人しかいないわけだから。だから日本のバスケットのために、男女問わず、生かしてくださいという思いはありますね。今、本当にやめたばかりで、やりたいことがたくさんあるのはわかるし、でもあまり「自分探し」が長くなってしまうと本当に何をやりたいかがわからなくなってしまう。

大神 確かに。

萩原 1年くらいいろんなものを見て、考える期間があってもいいと思うんですけど。今までいた私たちとはちょっと違うタイプのコーチになってほしいなと思いますね。

――海外の経験を生かして、日本固有のもの以外のもの取り入れてほしいと。

萩原 はい。海外とつながっているというツールは彼女がこれまで獲得してきたものだし、これはみんなが持っているものではないので、それを武器として生かしていくべきだと思うし、そうなってほしいと思います。

――どうですか、ジグザグを一緒にやったコーチからこう言われています。

萩原 ハハハ。

大神 確かに海外に挑戦したことで、向こうで出会った人たちが何かと気にかけてくださったり、今回のロシアリーグ観戦も中国WCBAの山西フレームに所属していたときのルーカス・モンデーロヘッドコーチが、今ロシアのクルスクというチームを率いていて、そのつながりで試合を見に行かせてもらったんです。そこは確かにオーさんが今おっしゃったように、そうしたつながりは誰もが持っているわけじゃないし、挑戦したことで得た自分の宝物だし、武器なので、そこは生かしていけたらいいなと思います。

――将来的にシンがオーさんのもとでアシスタントもありうる?

大神 もちろんです。

萩原 いやいやいや……そんなとんでもない(笑)。

大神 いやいやいや……じゃ、スキルコーチで。

萩原 あ、スキルコーチはいいかもね。本当に女子でこれだけスキルを教えられる人はいないかも。それはいいかも。

大神 スキルは自分もトレーニングとかに行って、いや、本当におもしろいですからね。必要なことでもあるし。若い世代は特に……でも今の日本の選手のスキルはすごいですよ。

萩原 すごい。上手だよ。

大神 本当にうまくかわすんですよ、これがまた。

* * * * *
最後はやはり日本の女子バスケットの未来に目が行く2人。
その後、カバー(フリーペーパー版の表紙)撮影に入ると、またも昔話が飛び出す。

萩原 そういえばアテネのとき、試合前の練習が終わって、シューティングをしているとき、シンがフローターの練習をしていたんです。まだ今ほどフローターが定着していない時代だったよね。

大神 そうですね。

萩原 遊び感覚でやっていたそれを、その日の試合で実際に決めたんです。あれは驚いた!

大神 そうそう。ロシア戦です!

萩原 シンはそういうことのできる選手だったんです。

* * * * *
さすがはWNBAを経験した2人であり、ある意味での師弟コンビ。
その会話で気を良くしたのか、大神さんはカメラマンが示す注文以上のパフォーマンス(?)を披露してくれて、次々に写真に納まっていく。
“ドペーペー”時代からの付き合いは永遠なり!

文・三上太 写真・安井麻実

こちらもおすすめ

Top