折茂武彦選手サイド(前編)「戦力であり続けることが一番重要」

24シーズンも現役を続けていれば、様々な武勇伝や都市伝説化しているものもある。シューターにも関わらず「シュート練習をしない」という話は耳を疑わざるを得ない。今回、本誌フリーペーパー(Vol.3絶賛無料配布中)に向け、折茂武彦さんのロングインタビューを敢行するにあたり、弊誌ライター陣との編集会議でもホントかウソか、おもしろい逸話が次々と出てきた。その真相を、恐る恐る直撃していく。

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シュート練習はしない?

はい、しません。シュート練習をすると周りがビックリするので、もうしないです。全然しないですよ。僕は練習が終わったらすぐに帰ります。もう自分の感覚が固まっているので、試合前にちょこちょこっと微調整して「こんな感じね」で、ハイOK。

オフシーズン中も今までは全く何もしてこなかった。早く帰りたいからケアや治療もしてこなかったですし、今でもアイシングはしません。ストレッチもしないし、基本的にな〜んにもしないです。オフ中は完全オフ。休むからこそオフだと思ってる。それは(前所属の)トヨタ(現・アルバルク東京)の時からですし、2〜3ヶ月間思いっきり休みます。

僕がルーキーの時にジャック・シャローというNBAから来たヘッドコーチに、「お前はオフ中にバスケットをするな、ボールにも触るな」と言われ、そこからやらなくなっちゃいました。まだ23か24歳の時ですよ。「これだけシーズンを戦ってきたのだからオフはバスケットのことを忘れろ。そのうちボールが触りたくなるものだから、その時が来たら触れば良い」という考えで今まで来てしまってる。だから、自分でトレーニングして準備しようと思ったのも、昨シーズンにケガをしたからやっただけで、今年が初めてのことです。でも、そのおかげで、今シーズンはコンディションが良い。ここ最近(インタビュー時は11月2日)は、30分近く試合に出てますからね。

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20分しか戦えない体になっていた

いろんな競技を見ていても、年寄り扱いされて試合に出る機会が減り、その影響で体力が維持できずに辞めていくわけです。トヨタでは出番も少なくなってきて、最後の方は20分ほどしか出られなかった。でも、36歳の時に北海道に来たら、毎試合40分近く出なければいけない。それはきつかった。20分を越えると酸欠を起こすほどきつい。結局は、20分しか戦えない体になっていたわけです。

それが35分以上コンスタントに試合に出るようになると、体が慣れてきて動けるようになるんです。そのおかげで36歳の時に世界選手権(2006年/日本)に出ることができました。36歳でも体は動くし、全然できるんです。その後、40歳間近でアジア選手権(2009年/中国・天津)に出てるんです。昨シーズンはケガで全然プレイしてなかったですが、それでも今シーズンはこれだけできるんですよ。だから、僕はずっと言ってるのは戦力であり続けることが一番重要ということ。

でも年を取ってくると年齢だけを見て、戦力外にされてしまいます。ヘッドコーチには、プレイタイムが長いとケガしてしまうんではないか、と気を遣われてしまう。練習中に使い倒してケガしたら、オレはそこで引退しても良い。試合でケガして、引退に追い込まれても構わない。責任は自分で取るということはコーチ陣に言ってます。

レバンガ北海道

(中編へ続く)

文・泉 誠一 写真・五十嵐 洋志、泉 誠一